リナちゃん失踪につき、他のライブ CD を見てみる

先日書いたように、現在 Puppy Linux の ISO ダウンロード・サイトに肝心の ISO が置かれていない模様です。バージョン2.1.3については、別の FTP サイトからまだ落とせるようですが (21日の記事「子犬のリナちゃん (たぶん♂)」にある青字の「紹介記事」に付けたリンク先のページでコメントを見てください)、2.1.4は消えてしまいました。

こちらもユーザーの一人なのでこれ以上のことは分からないのですが、本家サイトのダウンロード・ページで「Various Puppy-derivatives can be downloaded」(= 各種の Puppy 派生版をダウンロードできます) とあるリンク先にないかと思って見たところ、やはり日本語版は置いてないようですね。残念!

でも、そういえばこのサイトは、最初に2.1.4を落とした時もサイズが全然違っていたりして、ちょっと変だなと思ってたんですよ。アクセス制限がかかって入れないこともあったし。その時は翌日になってようやく落とせたんでしたっけ。安定してないのか、サイト運営者が故意に削除したのか。。。いずれにしても、ちょっと残念な状況です。事態が早く改善されるといいですね。

でもそんなの待ってられないよ、早く別の手軽な Linux を試してみたいよ、という方もおられるでしょう (← 自分だったして)。そこで、同じように容量が小さくて日本語化されている面白そうなディストリビューションをいくつかまとめてみました。ま、自分用のメモにしておきたいというのが本音なのですが。。。。


まず、LiveCD Linux としては結構定番の域に入る Damn Small Linux (これは俗称で、本当は Demi-Sized Linux と言うらしいです)。通称 DSL と呼ばれているらしいので、ここからは DSL と書きます。

DSL は定番 (の1つ) なだけに、かなり洗練されているようです。日本語版 (Damnsmall Linux) には3種類あって、基本機能に絞り込んだ約89 MB の軽量版、サイズはかなり増えます (それでも約183 MB) が使い勝手と機能性を大幅に向上させたカスタマイズ版、そして開発環境を加えた Pro 版 (約403 MB) を選べます。開発者じゃない人は Pro 版を選ぶ必要はないでしょう。軽さを重視するなら、やはり軽量版がお勧めですね。現在のバージョンは、いずれも3.1で、有名な「ライブ CD の部屋」というサイトからダウンロードできます。

特徴はいっぱいありますが、ブラウザに Firefox を採用しているのが個人的には嬉しいですね。USB ドライブからのブートももちろんサポートしているし、Windows 上から起動させることもできます。日本語版では確認してませんが、メモリーを128 MB 以上搭載しているなら、すべてをメモリー内で実行できるため、古いマシンでもめちゃめちゃキビキビ動いてくれます。あと、何より実績がありますからね、いろんなところで使い方の説明などを見ることができます (ただしほとんどは英語ですけど)。

ただし、実際に使う場合には、いろいろ面倒な設定 (一種のクセ) があるような話も聞きます。試してないのでいい加減なことは言えないのですが、機能性を高くしている分、操作性を犠牲にしているところがあるのかも。この点では、初心者にとっては Puppy Linux の方が使いやすいと言えるでしょう。


次いで、Morphix という先進的な Debian ベースのディストリビューション。ライブ CD の大御所 Knoppix の流れを受け継いでいるだけあって、完成度もかなり高い (みたい)。これにはいくつかのエディションがあって、メモリが少ない人用 ( Morphix LightGUI) とか、ゲーム好きの人用 (Morphix Gnome) とか、ウィンドウ・マネージャ各種が設定されたものなどから選べます。ただし日本語版があるのは Morphix Gnome だけのようです。。。

とは言っても、どのエディションも中身はどれもほとんど同じだとか。でもでも、Morphix Gnome の日本語版、500 MB 以上あるんですね。ま、ライブ CD としてはやや小さい方と言えますが、もう少しちっちゃいと良かったなぁ。欲しい方は「ライブ CD の部屋」でどうぞ。


3番目に紹介する MEPIS は商用ディストリビューションなのですが、日本語化されたライブ CD の ISO を無料で入手できます (つまりライブ CD 版は無料)。これも「ライブ CD の部屋」でダウンロードできます。これはどちらかと言うと、HD にインストールして使うもののようで、初心者向きとは言えないと思いますが、商用版をベースにしているだけに、安定性などは期待できるでしょう。探究心旺盛な人はお試しあれ。


4番手には、その名も軽い Feather Linux というものを紹介。でもこれ、日本語版は2005年半ば以降更新されてないようです。DSL から派生したものらしい (本家では Knoppix のリマスターと定義していますが) ので、だったら開発が進んでいる DSL の方がいいかなって感じもしますね。実際本家のバージョンもまだ0.7.5ですし。。。容量は本家が128 MB 未満、日本語版 (0.7.4) は145 MB です。興味のある方は、これも「ライブ CD の部屋」で拾ってください。


ちょっと容量は大きくなりますがライブ CD Linux として外せないものとして ubuntu を忘れちゃいけませんね。これ、個人的にとても興味があったのですが、前に書いたように ISO のダウンロードに2度も失敗したので諦めてます。でも、Puppy Linux 以外ではかなりお勧めのディストリビューションです。機会があれば使ってみたいですねー。


もう1つ Debian 系のディストロとして、Dreamlinux も挙げておきましょう。これ、特徴は何と言っても、Mac OS X を思わせる (というか Dock 機能までもそっくりの) GUI 環境です。容量は700 MB 近くあるのですが、ちょっといいなと思ってしまいました (Mac びいきなもので)。これは本家のサイトから日本語版の ISO を落とせます。つまり正式に日本語をサポートしている訳ですね。

現在公開されているのはマルチメディア エディションというもので、その名のとおりマルチメディア周辺が充実しています。ただしその分、ハードウェア要件は (ライブ CD Linux としては) かなり高くなっています (Pentium 3/Athlon 500 Mhz 以上、128 MB 以上のメモリ、3 GB のハードディスク空き容量)。さらに、HD にインストールする場合、データ領域などに必要なパーティショニングや初期化もちょっとクセのある画面だったりして、初心者にはハードルが高いかも知れません。でも、Mac ファンならかなり惹かれるでしょう。実はこれを試そうと思ってます。ハードディスクへのインストールがうまくいったら書きますね。


以上が Debian ベースのライブ CD Linux ですが、発展途上国の子供達が非力なマシンでも使えるようにと Red Hat が主体となって開発を進めている Fedora OLPC Project というものもあります。日本語版はないと思いますが、子供達が使えるように開発されているため、操作などは難しくないと思います。特に、「不具合の修正が簡単で、しかもそれが誰にでもできる」ことをコンセプトにしていることと教育用という観点からして、初心者には向いていると思います。ちょっと英語の勉強も兼ねて Linux に手を出したい方はどうぞ。


また、同じく Red Hat を起源とする人気ディストリビューションFedora Core をベースにした ADIOS という Linux も面白いと思います。これは元々学生用に開発されたものらしいのですが、いろいろあって (← 実にテキトーな説明ですみません) ライブ CD となりました。

で、複数の Linux を起動させることができる (← もうちょっと正しく言うと複数の「Linux インスタンス」を同時に実行できる) などの特徴があります。また、アメリカの国家安全保障局 (NSA) が開発した SELinux (Security-enhance Linux) カーネルで起動することも可能だそうで、かなり安全性を高めることもできます。結構すごいかも。

ただし容量は約685 MB あり、ライブ CD Linux ではありますが、軽量とは言えないですね。Puppy ちゃんと比べると、大人の大型犬という感じがします (何のこっちゃ)。ダウンロードはやっぱり「ライブ CD の部屋」で。


最後に、かなりちっちゃい Pantora Box という謎のディストロを紹介。正式サイトはこっちかな? このディストロ、サイズわずか45 MB と超軽量級なのですが、2004年2月28日 (ほぼ3年前) にリリースされたのが最後らしく、その後アップグレードされた様子はありません。ベースにしているディストリビューションが何かも分からないのでコメントのしようがありません。ま、試してみればいいんでしょうが、そんな時間もないもので。。。緊急起動用としてはいいんじゃないでしょうか。古いけど、ブラウザには Firefox 入れているみたいですね。


以上、興味のあるものをざっと並べてみましたが、比較するとやっぱり、データを CD-R (とか DVD-R とか USB ドライブとか) に保存できる Puppy Linux が優れているなと思います。容量も小さいし。2.1.4が入手できない状況なのは残念ですが、2.1.3もかなりよく出来ているので、当分はこれで遊んでみるといいんじゃないでしょうか? それ以外では、個人的には DSL がお勧めです。何せ容量が小さいし、実績もある。

また、ハードディスクにインストールするなら、Dreamlinux が一押しです。ライブ CD で試してみれば、その良さはすぐに分かります。本家の Web サイトを見るだけでも面白いし。

こうやって見ると、ようやく Linux が本当の意味で身近なものになってきた感じがしますね。