太陽系外の恒星を回る複数の惑星の直接撮影に成功

カナダやアリゾナ大学の研究者を含むグループが、ペガサス座にある HR 8799 という天体の周りを回る複数の惑星の直接撮影に成功しました。この天体は主系列星に属していて、撮影された3つの惑星はいずれも木星の数倍程度の質量を持っています。恒星に近いものほど質量が小さく、遠いものほど大きいそうです。

恒星と惑星の距離は、恒星の大きさが確定できないため推測でしかないのですが、概ね土星天王星海王星と同じ程度だろうと考えられています。もう少し詳しい数字としては、太陽から地球までの距離に対し、それぞれ24、37、67倍の距離と計算されています。

HR 8799 はこれまで、起動のふらつきから連星の可能性があると指摘されていました。質量と光度の関係が、これまで知られている法則とは異なる値を示しているなど、謎の多い天体でもあります。しかし今回の惑星の発見で、こうした現象に説明がつくかも知れません。

ところで面白いのは、地球から HR 8799 までの距離について、各方面で報道されている記事などでばらつきがあるということです。カナダ国営放送 (CBC) や CNN では130光年、米国科学振興協会 (AAAS) では128光年、Wikipedia では129光年、Astronomy という雑誌のサイトでは何と140光年になっています。んー、Astronomy 誌の場合、どこからこの数字を持ってきたんでしょうかね。

CBC の記事:www.cbc.ca/technology/story/2008/11/13/mtl-exoplanethr8799.html

CNN の記事:www.cnn.com/2008/TECH/space/11/13/new.planets/index.html

AAAS の記事 (日本語訳):www.sciencemag.jp/highlights.cgi

Wikipedia 英語版:en.wikipedia.org/wiki/HR_8799

Astronomy 誌の記事:www.astronomy.com/asy/default.aspx?c=a&id=7595


一方、NASA を中心としたチームは、太陽系からわずか25光年という距離にある Fomalhaut という恒星を回る惑星をハッブル宇宙望遠鏡で捕らえました (関連記事:www.nasa.gov/mission_pages/hubble/science/fomalhaut.html)。木星の3倍程度の質量があると推測されていますが、その質量から予想される光度よりもかなり明るく見えているようです。恐らく、土星のような輪があり、その反射光によって明るく見えるのではないかと考えられていますが、今後のさらなる観測結果を期待したいところです。

なお、この惑星が恒星を回る様子をアニメーションで見ることができます。こういう映像などをどんどん公開してくれる NASA は、やっぱり太っ腹ですね。

NASA のアニメーション:www.nasa.gov/mov/289925main_fomalhautorbitconcept.mov



宇宙に関して、これまで知られていないことがどんどん観測結果から明らかになってきています。やっぱり、天文学は面白いですね。もう一度勉強し直すかな。