Canada Line で試験運転が行われる

以前は Richmond-Airport-Vancouver Line ("RAV Line") と呼ばれていた、バンクーバー市と空港、そしてお隣のリッチモンド市を結ぶ無人鉄道 Canada Line が、ようやく人を乗せて試走するまでにこぎつけました。Canada Line の工事は3年前に始まったのですが、バンクーバーダウンタウンと空港を結ぶ路線計画は随分昔からあり、その都度周辺住民の反対などで実現しませんでした。それを考えると、ようやくという感じです。オリンピックを控えて、バスだけでは対応できないことが実現の後押しをしたことになります。

今回試験運転が行われたのは、リッチモンドからみて空港方面とバンクーバー方面の分岐点になる Bridgeport 駅と、空港駅を結ぶ、一部の区間で、時間にしてわずか4分だとか。今後、リッチモンドからバンクーバー市南部までの区間を重点的に整備していくようですが、問題はそこからバンクーバー市のダウンタウンまでの区間です。

その区間は、Cambie 通りの地下を走ることになっており、現在工事が進められています。しかし、工事中は道路が閉鎖されたり交通規制が敷かれているため、通り沿いの商店は大きな損害を被っています。大幅な売り上げの減少だけでなく、店をたたまなければならない人たちも少なからずいました。工事はあと1年ほど続く見通しで (開業は2009年11月の予定)、それまでの間は、Cambie 通り沿いでの商売を続けていくことが非常に困難と思われます。

市や、RAV ラインの工事・運営を担う TransLink も、それなりに対応策を取っていますが、周辺商店にとってそれが不十分なのは明らか。死活問題であり、これ以上は我慢できないと、とうとう集団訴訟に打って出ました。

まだ裁判所が提訴自体を受理するかどうか決定していないのですが、この不況の折、いったいどのようなことになるのかが注目されています。

また、治安の面でも懸念が残ります。Canada Line 以外にも、バンクーバー市を中心に2路線で無人鉄道が走っていますが、駅周辺ではひったくりや麻薬取引などが頻発し、沿線が犯罪の温床となっています。特に夜間に利用する場合は、身の安全を自分で守れない限り、いつ何が起きるか分かりません。こうした問題が、Canada Line の各駅でも起きるのではないかということが問題視されています。



ま、いずれにしても、オリンピックを前にして完成させない訳にはいきません。トリノと同じことはやってはいけません (トリノはオリンピックのために建設していた鉄道が結局完成しなかったですから)。

それに、リッチモンドや空港まで、バンクーバー市内からはこれまでいつも大変な思いをして出かけていたので (車がある時はいいですが、それ以外はバスかタクシーしかないため)、1日も早く完成させてもらいたいと思っている人は多いはずです。交通渋滞も緩和されるでしょうし、その利点は決して小さいものではありません。



ちなみに Canada Line の Web サイトですが、右上の路線図にある駅にマウスを置くと、その駅から別の駅までの乗車時間がサイト上部に表示されます。これ、なかなか面白いですね。普段あまり気の効かないカナダ人にしては (失礼!)、なかなかやるじゃないですか!