Trados で Clean up できない場合の対処法

昨日は久しぶりに徹夜作業でした (最近はだんだん徹夜が辛くなりました/泣)。翻訳作業自体は決して大変じゃなかったし時間的な余裕もあったんですが、Trados のエラーで Clean up ができないため、だいぶ焦りました。

最近はバイリンガル・ファイルのままで納品することも多いのですが、今回は Clean up したものを提出してくれとの指示。何としても Clean up しなくちゃなりません。

しかし翻訳が完了した Doc ファイルを Trados で Clean up すると、エラーのオンパレードで全然できません。今回のファイルは、ほぼすべてのページに画像が複数あり、フィールドコードもバンバン使われているため、元々不安定だったんです。作業前から危ないなぁと思ってたんですが、悪い予感がみごとに当たりました。

さて、エラーがある以上、どんなに頑張ってもそのままでは Clean up できません。エラーのある翻訳単位を修正できるのなら、それが一番いいんですが、開く時点でエラーになるものがほとんどで、数も多いし、なすすべがありません。ということで、バイリンガル・ファイルの原文の部分、つまり WORD の隠し文字部分だけを削除する方法を調べてみました。

Trados で長く仕事をされている方なら一度や二度はお世話になったことがある tratool-jp メーリング・リストにその答えはありました。いつもロムってばかりですが、有益な情報に助けられることは多いです。

方法は2つあるようで、それぞれ以下の投稿記事に方法が書かれています。最初見た時ちょっとだけ分かりづらかったので、少し書き換えました。また、メニュー名の後ろにある ( ) 内の表記は、今回作業に使用した英語版 WORD XP のメニュー名です。

A.「マクロ」で、tw4winClean.Main 部分を消去する方法(http://groups.yahoo.co.jp/group/tratool-jp/message/2747 を参照)

1) WORD の [ツール (Tool)] ⇒ [マクロ (Macro)] ⇒ [マクロ (Macros)] で「tw4winClean.Main」を選択し [実行 (Run)] を押す。

  • 問題点:ピリオドの後ろにスペースが入らないため、後で修正が必要
  • 対応策:ピリオドを「ピリオド+スペース」に置換する (試してないですが、そういう指摘がされていました)


B.「置換」機能で隠し文字を削除する方法
(http://groups.yahoo.co.jp/group/tratool-jp/message/2748 を参照)

1)WORD の [編集 (Edit)] ⇒ [置換 (Rplace)] を選択する。
2)[検索オプション (Search Options)] 領域が表示されていない場合は [オプション (More)] ボタンをクリックして表示する。(ちなみに 英語版 WORD XP では、[Search Options] 領域内に [Options...] ボタンがありますが、これは関係ありません。)
3)[検索する文字列 (Find what)] フィールドにカーソルを置き、空欄のまま、[検索オプション (Search Options)] 領域下部の [書式 (Format)] ⇒ [フォント (Font)] を順にクリックする。
4)表示されるダイアログボックスで、[Effects] 領域の [隠し文字 (Hidden)] チェックボックスをクリックしてオンにし、[OK] をクリックしてダイアログを閉じる。(デフォルトではチェック項目がすべてグレーで選択されていますが、改めて明確にチェックを入れます。)
5)[置換後の文字列 (Replace with)] フィールドは空欄のままにし、[すべて置換 (Replace All)] を実行する。

  • 問題点:隠し文字が残ることもある (翻訳単位によっては、丸々残ってしまう)


A の方法はかなりうまくいきました。ピリオドの問題は、出力文字部分など、原文をそのまま残す必要があるファイルでなければ影響がないので、英日の場合にはお勧めの方法です。(日英だと悲惨ですが)

B の方法だと、隠し文字が残ってしまった部分がかなりありました。特にエラーが出ていた箇所でもなく、残ってしまった原文の先頭文字などが同じだとか、特殊記号が使われているということもなく、理由はよく分かりません。しかしピリオドが含まれるファイルであれば、こちらが安全かも知れません。

また、どちらの方法でも、フィールドコード ([Alt] + [F9] で表示/非表示切替) には影響ありませんでした。

いずれにしても完璧な Clean up ではないため、後で見直しをする必要があります。しかし、エラーで二進も三進もいかなくなった場合には有効な手段ですね。



Trados と WORD の組み合わせでは様々なエラーで泣かされてきました。Trados と WORD のバージョンによってエラーが出たり出なかったり、または症状が異なったりするし、OS との相性も多少あるようで、本当に困ったものです。高機能化して新しいバージョンをどんどんと発売し、利用者を煽って買わせる手法は、営利企業なので仕方ないとは思いますが、まずはバグをなくすように努めてもらいたいものです (Trados はもちろん、WORD もです!)。

今回は Windows XP で、Trados7.1+ WORD XP (2002英語版) の組み合わせでしたが、エラーが出たときには Trados6.5 (場合によっては TM を作り直す必要があるものの Trados5.5も)、そして WORD98などでも試してみます。エラーがなくなることもあれば、原文ファイルに問題があって、どんな組み合わせでもうまくいかないこともあります。こうした問題を解決するために使う労力や時間には、クライアントも翻訳会社もお金を出さないんですよね。全部翻訳者がかぶることになる。そのくせやり方は報告しろという翻訳会社もあります。ただでノウハウだけもらおうってことですね (今回はカナダの翻訳会社なのでそういうことはなかったですが、日本の翻訳会社にはそういう所が多いです)。

こういう構造が続く限り、嫌気が差して業界を去る優秀な翻訳者が後を絶たず、業界全体のクォリティが下がっていくんでしょうね。残念なことです。



しかし、それはそれとして、そろそろ新しい Office とか Trados を揃えないとまずいかなぁ。Trados も SDL に買収されてからどんどん新しくなってるし。でも今のところ手持ちのバージョンで困ることはないから、もう少し様子を見ますかね。アップグレードだけで数万円しますから。

Office も2007とかだと、かえって不具合が出る可能性もあるみたいですね。試すことができないから、購入するのも考えものですし (今セールなのか、どこの店でも「Office2007 Home and Student」を99ドルで売ってるんですが、使い勝手悪いって評判が気になる)

それに、今は何と言っても、ノートパソコン買ってお金ないですからぁ (泣)。

仕事って、とにかくお金がかかりますね。