Idiom を使う仕事はこの先もあるんだろうか

うー、夕べは寒かった。ダウンタウンは割と気温が高めなんですが、それでも夕べは朝方に11度まで下がりました。掛け布団を1枚多くして寝たんですが、それでもちょっと寒かったなぁ。まだ7月なのに「もう夏は終わってしまったの?」っていう感じです。

昨日から天気が良くないのですが (今週はずっと悪いらしい)、今日は花火大会の3日目。降水確率は少なめの20%です。今午後2時現在、真っ黒な雲はあるものの、ちょっと日差しが出たり隠れたりって感じで、風が冷たい。夜はどうなるんだろう。ま、腰が痛いし寒いから見にいかないですけどね。



では本題です。今、新しい仕事の準備として、Idiom WorldServer 環境の導入準備を進めています。といっても、使うのはクライアント側の DWB (Desktop WorkBench) の方ですけどね。翻訳ツールとしては、Trados 以外にもいくつか使っていて、これが5つ目くらいかな。だんだん訳が分からなくなりそう。。。



Trados を買収した SDL は、残る翻訳支援ツール業界大手の Idiom も買収したので、この業界では1強となりましたが、たくさんの種類のツールを今後どのようにまとめていくんでしょうか。まあ、Trados も Idiom も、SDL よりユーザーベースが大きかったと思うので、人気は劣るが体力のある SDL がこれらを買収し、自分の位置を固めようって戦略なんでしょうね。はっきり言って、MS が Yahoo! を買収しようってのと同じ構図ですよ。ユーザー不在で利益優先の駆け引きしか行わないのが企業です。

まあ、営利企業は利益を上げるために存在し、(経営陣を含む) 株主のためにあるものですから、仕方ないですけどね。

SDL がどんな理由で買収をしようと構わないのですが、ユーザーが混乱するような変更とか、製品提供の中止、そして独占的立場を利用した値上げなどは勘弁してもらいたいものです。Trados なんて、ただでさえ高い製品なんだし。



で、Idiom ですが、この製品は翻訳者側に一切お金がかからないのが魅力なんですよ。Trados とほぼ同様の機能があって、しかも Trados では複数の製品に分かれていたものが1つに統合されているので、ある意味使いやすい (かなり痛いバグとかありますけど)。だけど、SDL に買収された今、これが今後も翻訳者サイドには無料で提供されるのかってのが一番の懸念です。だって、主力製品の SDL Trados の売り上げに影響してくるでしょ?

真っ先に考えられるのは、適当なところで Idiom を抹殺してしまうことでしょうね。少なくとも、バージョンアップをやめてしまうとか。そして Idiom ユーザーには、割引価格で SDL Trados 製品への導入案内をするとかで (たぶんそのための買収だろうし)。嫌だなぁ。もしそうなったら、せっかく (新しく契約した) 翻訳会社からの指示で覚えている Idiom の知識も無駄になってしまうし。無料だからまだいいけど、操作を覚えるために費やした時間的な損失は大きいですよ。

まあ、クライアント (この案件の場合はかなり大手の IT 企業です) が Idiom WorldServer を使いたいと言っているうちは大丈夫だと思うんですが (SDL に対してもめっちゃ影響力ありそうだし)、バージョンによってインターフェイスが結構違ってくるし (Trados じゃ考えられない)、クセもいろいろあるし、覚えるの大変ですよ。

こうしてみると、翻訳も IT 技術力が大きく影響してしまう時代なんですねー。本当に力のある翻訳者でも、技術力が少し足りないためにあぶれてしまうこともあるんだろうな。そして、技術に長けた者は、翻訳力が多少劣っていても重宝される。それによって翻訳業界全体の質が下がる。

でもこれって、本来は翻訳者を支援するために生まれた技術に、逆に使われてしまっているってことですよね。まさに本末転倒だ。翻訳業界は、自分で自分の首を絞めていることに気づかないのだろうか。いや、気づかない振りをしているんだろうけど (利益を上げる方が大事だから)、いつかツケが回ってくるってことを考えないんだろうか。



そんなことをしみじみ思うと、一翻訳者の身分じゃ何も変えられないし、翻訳なんて仕事やってられなくなりそうなので、こうやって愚痴を書いて忘れることにします。そうしなきゃやってられまへんわ。 (← 何故に関西弁? しかも似非関西弁だし)