税金のお話 (カナダ永住者が一時帰国した時の住民税)

年末ですので、税金のお話でもひとつ。 (え”っ?)

本当は黙ってようと思ったんですが (誰に? 何で? というツッコミはなしでお願いします)、実はもうじき一時帰国します。何と、日本で年末年始を過ごすのは10年ぶりになります。紅白とか、除夜の鐘とか、初詣とか、おせちとか、雑煮とか、お年玉とか (は関係ないか)、一応カナダでも体験できるのですが、雰囲気が足りません全然足りません。特に正月は、元旦だけがお休みで、2日からは平日だし。

大事ですよね、この師走のあわただしさと、年明けの厳かな感じ。そして三が日の浮かれた日々。初日の出なんか見たり、神社やお寺で心を清めたり、おみくじ引いて一喜一憂したり、正月は楽しい行事が満載! (何より飯がうまいし、湯船に浸かれるお風呂が嬉しい♪)

でもね、帰国にあたって心配なことがあったんです。それは住民税のこと。。。



日本の税金に詳しい人なら、1月1日の居住地で前年分の住民税を払うことになっている日本の法律をご存知でしょう。つまり、短期滞在でも、1月1日に日本に居住している場合 (簡単に言えば住民票が日本にある場合)、理屈上は住民税を支払う義務が出てくる訳です。

今回の帰国は、年末に帰って1月半ばにカナダに戻る予定。合計3週間ほどあるので、住民票を入れることにしてます。これは、滞在中に日本で医療サービスを受けられるというメリットがあるからです (もちろん、滞在中の国民保険料は払いますよ)

それに、確か2週間以上 (もしかしたら3週間かも) 日本に滞在する場合は、住民票を入れることが推奨されていると役所で聞いたことがあります。もう古い情報なので変わっているかも知れませんが、住民票を入れた方がいいということは、法的にも示されていることだったと思います。 (短期滞在の場合は強制ではないと思いますが)



そこで心配になったのが住民税です。カナダに永住してから10年間、1月1日に日本で過ごしたことはなかったので、その辺りのことがよく分からない訳ですよ。

で、家族に頼んで役所に確認してもらったところ、カナダでの住民税納付事実を証明できれば問題ないとのことでした。



ふむ。でも実は、ここが問題でした。



というのも、
カナダには住民税ってものが存在しない
んですよ! それだけじゃなく、日本と違ってカナダには贈与税および相続税もありません (相続を受ける側は所得税として課税される場合もありますし、不動産は居住目的ではなく投資目的の場合に例外扱いとなりますが)

となると、カナダで住民税を払っている証明はできません。払ってますって言ってごまかそうとすれば、それは虚偽の申告になるので、これはまずいですね。ということは、日本で (わずか2〜3週間だけの滞在なのに) 住民税を払わなければならないでしょうか?



えー、結論から言うと、答えはノーのようです (実際に役所で免除された実績がある訳じゃないので99%の確率で)。なぜなら、日本の住民税は前年の日本における収入に対して課税されるもので、
日本での前年の収入がなければ税率はゼロになる
からです。ま、正確には免除というよりも、住民税はかかるが額はゼロ円ということですね。

ちなみに翻訳の仕事では、日本の会社から仕事をもらい、日本の口座にお金を振り込んでもらってますが、居住の本拠地はカナダなので、日加間の租税条約に従い、すべての収入をカナダ側で申告しています。そのため、日本での収入はゼロなんですよ。だから日本では払うべき住民税もゼロ円になるという仕組みです。二重課税されたらたまりませんからね。

(特に役に立った資料:www.yomiuri.co.jp/atmoney/zeikin/20041130mk11.htm)



ま、いずれにしてもカナダで税金を納めている証拠を持参しないといけないのですが (カナダでの納税証明書類を持って行かなかったら収入を申告してないと疑われる可能性もあるので)、知らないと大金を払わされることになってましたね。その場合、あとで事情を説明して還付してもらうことも可能かも知れませんが、それも定かではありません。とにかく税金というのは、よく理解してないと大損するようにできています。

こういう情報も、実は自分で経理をすべてこなしているので、ある程度内容を絞った上でネットの検索を利用し、調べることができました。もし経理の知識、特に日加間の租税条約などの情報を持っていなかったとしたら、調べるにしても大変だったでしょう。「芸は身を助く」というか、「知識は身を助く」というところでしょうか。

みなさんも、意外と知らないところで税金の損をしているかも知れませんよ。知っておいて損はないですから、確定申告の前にいろいろ調べてみてはいかがですか?



カナダに永住して、住民税なしの恩恵を受けるのもいいですよ。バンクーバーは世界一住みやすい都市に選ばれてますし、簡単な病院での受診は無料だし。でも冬は雨ばっかりでうつ病が北米一多く、水道水はよく濁り、消費税は日本の3倍近くで、公務員や交通・病院などの公共サービス職員が数ヶ月もストしたりしますが。。。    (医者がストした時には救急患者が死んじゃったりしましたしね)