まだ一週間続く新しい夏時間

米国の2005年エネルギー政策法によって、米国やカナダでの夏時間 (DST) の開始日と終了日が今年から変更されました。昨年までは、今日 (10月最終日曜日午前2時) が夏時間の終わりだったのですが、今年からは1 週間遅い11月第1日曜日午前2時になりました。ちなみに夏時間の開始は、これまでより3週間早くなって3月第2日曜日午前2時になりました。なお、一部地域では夏時間を実施していない所もあります (例:アリゾナ州)。また、他の国でも夏時間の変更が行われています。

==北米 (の大部分の地域における) 新しい夏時間==
開始: 3月第2日曜日午前2時 (以前は4月第1日曜日午前2時)
終了:11月第1日曜日午前2時 (以前は10月最終日曜日午前2時)


パソコンでは、Windows XPWindows Server 2003に対して、タイム・ゾーン・データを更新するプログラムがマイクロソフトから提供されています。また、VISTA など、新しい Windows OS では、初めから新しい夏時間への対応が行われています。

まあ、日本に住んでいる方にはあまり関係ないことなのですが、北米在住の者としてはかなり大きな影響を受けることなので、これは大事な情報です。

で、XP や Windows Server 2003を使用していて、まだ更新プログラムを適用されていない方は、このページの解決方法に示してある「Windows XP 用の更新プログラム パッケージ」のリンクから更新プログラムをダウンロードして適用してください。でもたぶん、最新のアップデートをしていれば、自動的に適用されているとは思いますが。



それじゃ、XP なんかより古い Windows OS の場合はどうするのか? マイクロソフトは当初、サポート外の OS なので知らないよと、冷たい態度を取ってました。自分の売った製品だけど、「古いものはもう使わないで新しいものを買え」という、いつもの偉そうなスタンスですね。

でも批判も多く、Windows 2000以前のシステムを使っている人がかなりの数にのぼり、様々な方面での影響が考えられることから、Windows 2000シリーズについては対処することにしました。こちらに対処方法が記されています。

これは Windows XP の場合と異なり、修正プログラムを適用すれば済むというものではなく、Time Zone Editor というユーティリティを使って自分で変更処理をしなければなりません。パソコンに詳しくない方でもそんなに敷居の高い作業ではありませんが、Time Zone Editor をダウンロードして自動解凍させる場所を指定する時に注意が必要です。

Time Zone Editor は実行ファイル形式になっていますが、これは Zip ファイルの自動解凍を行うだけです。解凍先は任意の場所でいいのですが、日本語のディレクトリ・パスがあると解凍できません。そのため、C や D ドライブなどの一番上位に英語名の新しいフォルダを作って、そこに解凍するといいでしょう。

使い方は対処方法が書かれたページに記載してあります。太平洋標準時 (米国およびカナダ) 以外のタイムゾーンの方は、自分のタイムゾーンに置き換えて読めばいいでしょう。もちろん、そのタイムゾーンに適切な開始日時と終了日時を指定する必要がありますが、難しい操作ではありません。



残念ながら、Windows Me/98/95 などについては、修正する手段が存在しません。このブログにはそうしたレガシー・システムでアクセスされている方も少なからずいらっしゃるのですが、その場合は手動で日付けをずらすしかないでしょう。1時間ずれているとメールの送受信でも混乱が生じるので、忘れずに作業する必要がありますね。



ちなみに他の OS についてですが、Mac OS X 10.4の場合は10.4.5で、Mac OS X 10.3の場合は10.3.9で、すでに対応しています (公式情報はここ)。

レガシー・システムの OS 9については、公式アップデートは出てないのですが、Glenn Anderson 氏が Mac OS 8.5〜9.2.2用に修正ツールを公開してくれています。



Linux の場合は、ちょっと面倒です。Windows ではハードウェア・クロックがローカル・タイムと同じになっているのですが、Linux ではハードウェア・クロックがローカル・タイムとは限らず、協定世界時 (UTC) というもので設定している場合があるのです (というか、自分で設定できる)。ちなみに UTC は、GMT と同じと考えて構いません

Linux だけのマシンであれば、ハードウェア・クロックを UTC に設定して、タイムゾーン情報を指定してやれば済みます。つまり今回の新しい夏時間においては、このタイムゾーン情報を更新してやればいいだけです。

しかし、マシンが LinuxWindows のデュアル・ブートだと、話がややこしくなります。Linux でハードウェア・クロックを UTC に設定した場合、Windows に切り替えると時間がずれてしまうのです。OS を切り替えるたびに設定し直す必要がでてくるようでは嫌になりますね。

なので、ハードウェア・クロックを Windows と同じようにローカル・タイムに設定する方法もアリなのですが、ネットワーク上のタイム・サーバーを使って時間調整した場合に、ハードウェア・クロックが狂ってしまう可能性もあります。すでに混乱されているかも知れませんが、詳細な説明はもっとややこしいことになるので、ここでは割愛します。

結局のところ、LinuxWindows のデュアル・ブート環境では、完全な解決策はありません。LinuxLinux 専用マシンにして、Windwos は仮想化環境で動かすなどの方法なら、うまくいくでしょう。



夏時間の変更って、こんなに大変なことなんですよ。日本でも導入が検討されていますが、みなさんは準備できてますか?