バンクーバーのインフルエンザ予防接種事情

先日、近所の新しいグロッサリー・ストアーができたんです。日本のスーパーと薬局が一緒になったようなところですね。店の奥には薬局があって、そこでインフルエンザの予防接種をやってくれるというので、今日行ってきました。

通常、インフルエンザの予防接種は病院などで行いますが、薬局などでも期間限定で実施してくれることがあります。今回は新しくオープンしたこともあり、店の宣伝も兼ねてのサービスだったようです。その店の会員になれば、料金も25%オフ (通常20ドル→15ドル)。会費とかもないので、とりあえず入会して、割引を受けることにしました。

今回は前日に予約を入れてあるので、待たされることなく受けられました。指定の時間に行くと、昨日予約を受け付けてくれた薬剤師さんがとても親切に案内してくれて、ここまでは「とてもサービスのいいところだなぁ」と関心してたんです。。。が。



さて、接種を受けるにあたっては、まず問診票のようなものに記入する必要があります。これはどこで受けても一緒。その時、目が充血していたり、咳が出たりするかという問いがあったので、薬剤師の人に「咳がちょっと出るんですが」と聞いてみました。薬剤師さんは、「たぶん問題ないと思うけど、一応ナースに聞いてみてください」と慎重に答えてくれました。

問診票を書き終えると、「ではあちらにナースがいるので、この問診票を持って行ってください」といわれました。ナースは、商品の陳列棚の向こう側にあるちょっとしたスペースに、机と椅子を置いただけの即席ブースで待っていました。かなーり太ったおはばん看護婦さんです。白衣とか着てなかったですけど (あんだけ大柄だと、サイズがないってことも考えられますが)

軽く挨拶を交わしてから咳が出ることを聞いてみると、「あんたが動けるんなら大丈夫よ」と軽くあしらわれました。デンと構えている大柄なおばちゃんにそう言われると、結構安心します。そして注射。おばちゃんは、ダーツの矢を投げるような感じで、かなり勢い良く針を刺しました (荒っぽいのなんのって)。まあ、この時はそんなに痛くなかったですけどね。

でも、注射が終わると、普通はガーゼかなんかで傷口を拭くじゃないですか。でもおばちゃんはティッシュを一枚取り出すと、もの凄い力で傷口を押さえつけます。それも、何度も何度も。
注射よりずっと痛かったなぁ。
結構出血している感じだったけど、それはおばちゃんが強く押し過ぎじゃないかなって感じさえしましたよ。

血を拭き取ると、今度は「傷口にガーゼを貼っておきましょう」とか言いながら、取り出したのは市販のバンソウコウ。それを、また手荒く傷口に貼り付けたのですが、不思議とその時は痛くありませんでした。「ああ、これで痛くなくなったんだ」と変に関心しちゃいました。

最後に、毎年聞いているので答えはわかっているんですが、念のため「夜シャワー浴びても平気ですか?」と聞いてみました。するとおばちゃんは、「好きにしていいわよ」と答え、さらに「前にね、
バイオリンを弾いても大丈夫か
って聞かれたこともあるわよ」と言いました。

ちょうどさっきの薬剤師さんがこちらに来てその話を聞いたので、二人して「え?」という顔をしていると、おばちゃんが続けました。

「わたしは大丈夫よって答えたんだけど、その人は弾きたくないって言ってたわ」

その話を聞いて3人で大笑いし、注射の痛みも忘れてしまいました。バイオリン弾きは、インフルエンザの予防接種を何だと思ってるんだろうなぁ。それだけ繊細なんでしょうかね。

おばさんからは、10分ほどは店内に止まるようにと最後に忠告を受けました。万一、何か反応が出た場合に備えてのことだそうです。これまで他のところで予防接種を受けてもそんなこと言われたことがないのでちょっと吃驚しましたが、何だちゃんとそういうところはキチンとしてるじゃないかって、逆に安心しました。

で、10分ほど店内を物色してたんですが、また傷口がジンジン痛みます。バンソウコウ貼ってるから大丈夫でしょうが、何かすごく痛いなぁと思いながらあちこち見て周ってました。そして帰宅。注射しやすいように割と薄着で行ったので、外の寒さが堪え、すぐに着替えようと上着を脱いだとき、ついでに注射の傷跡を見てみることにしました。

T シャツの袖口をまくり、バンソウコウが貼られた部分を鏡で見てみたのですが、その1センチほど下に何か傷のようなものがある。ちょっと出血した後があり、近くを触ると痛い。むむ。

何か嫌な予感がしつつバンソウコウの上から傷口を押してみると、まったく痛くない。これって。。。

恐る恐るバンソウコウをはがしてみると、そこには何もないじゃないですか!つまり、あのおばはんナースは
注射した痕とは違うところにバンソウコウを貼ってくれた
訳です。傷の部分は服とすれて、そりゃ痛いわけです。



今日はその後、ちょっと散歩でもしようと思ってたんですが、一旦家に帰ってきて正解でした。これじゃ、傷口にばい菌が入ってしまう可能性もある (もう入っているかも知れないけど)。実際、ちょっと腕がだるいし (たぶん注射そのものの影響でしょうけど)

それにしても、ナースだからって全面的に信用しない方がいいですね。ナースも人間。間違えることもあるんです。日本で入院してたときも、点滴の針が血管に入らずに筋肉注射になってしまって、腕がパンパンに腫れたことがありました。痛みを訴えても針を入れた看護婦はちゃんと入っているからと取り合ってくれなかったし。

結局、あとで婦長さんが来た時に看てもらったら、やはり点滴の針の入れ方が悪かったとのことでした。隣のベッドにいた患者さんも、点滴をした看護婦が全然取り合ってくれなかったことを婦長さんに文句言ってくれてましたっけ。そんな経験もあるので、今回のこともヲイヲイって笑っていられますけど、事と場合によっては命に関わることですからね。

やっぱり、医療行為ってものは、病院でちゃんとやってもらった方がいいってことでしょうか。5ドルのディスカウントってのは、こういうハプニング割引だったのかなぁ。