大量の水が発見された火星を散歩してみよう
火星に液体の水があったことはほぼ疑う余地がないのですが、その水はどこに行ってしまったんでしょうか。
天文学的 (地球物理や惑星学、大気学などの方面) に考えると、地球より小さい火星では重力もその分小さいため、大気 (の分子) がどんどん宇宙空間に逃げていってしまいます。実際、月にも昔はいくらかの大気があったはずなのですが、今では全部宇宙空間に逃げてしまい、すっからかんになってしまったんですよ。
もちろん地球の場合も、毎日少しずつですが大気は逃げています。その減り方は、地球全体の大気の量に比べたら極微量なので、今は心配しなくても大丈夫ですけどね。まあ、心配したところで、どうにもならないのですが。
で、火星の場合は、火星がまだ熱かった頃に水蒸気として大気に含まれた水が、かなりの割合で宇宙空間に逃げてしまった可能性も否定できません。というか、そういう説明で水の見当たらないことを説明しようとする考えもありました。
でも、欧州宇宙機構 (ESA) が15日に発表したデータから、大量の水が南極に氷の形で残っていることが分かりました。で、どのくらいの量かというと、もしその氷の塊を全部溶かしたら、火星の全表面を11メートルの深さで覆うという程の量です。
共同でプロジェクトを進めてきた NASA の説明によると、その氷の大きさはテキサス州よりも大きい面積を持つらしいですが、その人の説明、ESA の方ではちょっと違う言い方で紹介されています。
NASA:
The south polar layered deposits of Mars cover an area bigger than Texas.
ESA:
The south polar layered deposits of Mars cover an area as wide as a big portion of Europe.
まあ、それぞれの読者や土地に合わせて言い方を変えているんでしょうが (翻訳ではときどき要求されます)、発言を引用している部分を勝手に変えてしまうってのはどうでしょうね。だいぶ違う感じがします。ま、本人の了承があればいいんですけど。。。
それはさておき、火星では両極以外にはあまり水が残っている痕跡がありません。昔流れていた後はたくさんありますけど。でも、これだけの量の水が見つかったということは、昔はもっと大量の水が火星表面を覆っていたと考えて問題ないでしょうし、むしろその時にどんなことが起きていたのかが興味を引きます。やっぱり火星人 (というか火星の生命体) はいたんじゃないかなぁ。今も氷の中で眠っているかも知れないし (マンモスみたいに?)。
こうして身近なところで生命の存在の可能性が高まってくると、宇宙のどこかで高度な文明を持つ生命体がいるんじゃないかって期待も高まりますね。少なくとも、「いない」と決め付けることは、ほとんど不可能じゃないでしょうか。
ちなみに NASA では「NASA World Wind」という、それはそれは見事な立体地球儀を提供しています (Google Earth とは違います)。これ、地球の場合は道路1本1本まで見えるようだし、月、金星、火星、木星も観られます。直接 NASA のサイトからダウンロードもできますが、少し日本語の解説もある窓の杜からもダウンロードできます。
これを使って、この週末はちょっと火星を散歩なんてどうですか?