薄明
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昨日の夕刻から今日にかけては、度々霧が発生しました。特に夕べ遅くから今日の午前中にかけては、ダウンタウンは濃霧に包まれ、車も徐行運転を余儀なくされていました。
日中は日差しが強くなってきたために霧は一旦晴れましたが、夜のとばりが近づくにつれて視界が薄らいできました。
今日は仕事で連絡を取ったりする用事があるのですが、午後に青空が広がったのでちょっと買い物に出てきました。気温は3度程度と低めでしたが、風がないので気持ちのいい散歩になりました。日曜の午後ですからね、少しはのんびりしなくちゃ。
ところがちょっとのんびりし過ぎたため、帰宅する前に日が落ちてしまいました。今日の日の入りの時刻は午後5時2分。この時刻を過ぎると「薄明 」(トワイライト) になります。もそっと文学的にいふなら、「誰ぞ彼=黄昏」ですね。
薄明は3種類あることをご存知ですか?日没 (太陽の上端が地平線に隠れる瞬間) 後、太陽の中心が水平線よりも6度下に移動するまでは「市民薄明」(または「常用薄明」) と呼ばれ、何となく暗くなってきたなという感じになります。さらにこの角度が6度から12度までの間になると「航海薄明」となり、12度から18度の間は「天文薄明」と呼ばれます。
それぞれの名前は、明るさによって何ができるかが由来になっています。市民薄明の時は人々が戸外での作業を照明などがなくても不自由しない時間帯であり、航海薄明の時は船が方角を確認するための明るい星が見える時間帯で、天文薄明の時は肉眼で6等星まで見える時間帯、ということになります。ま、現在の都会では、この定義は当てはまりませんけどね。
今日のそれぞれの薄明 (の終わり) の時間は、市民薄明が5時36分、航海薄明が6時15分、そして天文薄明が6時52分 (=正式な夜の始まり) となっています (すべてスタンレー・パークでの時間です)。つまりそれぞれの薄明は、34分間、39分間、および37分間となりますね。薄明の時間は結構長いものです。なお、日本では、これとかなり違った継続時間になります。詳しく知りたい方はこちらをどうぞ (東京の場合です)。このページの「Sun」という項目にある、「Civil twilight」「Nautical twilight」「Astronomical twilight」というのがそれぞれの薄明のことです。
ちなみに薄明は夕暮れ時のことだけでなく、明け方の場合にも同じように定義されています。違いは順序が逆ということですね。そして天文薄明の始まりは、正式な夜の終わり、という訳です。
バンクーバーでは水平線に落ちる太陽を見ることができるのですが、残念ながら我が家からはちょっと離れたところに行かないと見られません。夏になると日の入りの時間自体が夜10時くらいになるため、のんびり夕日を見る機会はあまりないですね。冬場は4時台のこともありますが、寒いのでやはりじっと見ている人はほとんどいません。とても綺麗なのに、ちょっともったいないですね。日本やアリゾナにいた頃は、結構夕日が沈むのを楽しんだ思い出があります。何だか懐かしいなぁ。
話がだいぶ専門的になってしまいましたが、そうした薄明の中で対岸のノース・バンクーバーの方向を眺めていたら霧と雲の演出によって素晴らしい景色を見ることができました。上の3枚の写真は、その時撮影したものの一部です。他の写真は picasa のアルバムでご覧になれます。