メール・イン・リベートのからくり

日本でもメール・イン・リベートという仕組みがすでにあるのでしょうか? こちらではかなり浸透しています。品物などを買った後、品物の購入を証明するいくつかのアイテム(レシート、シリアル番号の記載されたケースの一部、リベート用フォームなど)を指定の宛て先に郵送すると、数ヵ月後にキャッシュ・バックされるというものです。

大型の商品では、車などでよく行われます。この場合はキャッシュ・バックの額も数千ドル単位になることも珍しくありません。とは言え、商品の金額からすれば小さいものと感じますよね。ところが、実はそうでもないんです。

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この写真は、ある家電量販店で今週売り出されているワイヤレス・ルーターの広告です。元値は89.99ドル。それが47ドルのインスタント・リベート(=その場でキャッシュ・バック)と40ドルのメール・イン・リベートで何と2.99ドルになっています。300円ちょっとですよ。こんなにキャッシュ・バックなどをして、商売になるんでしょうか?

ちなみにちょっと前に、Kingston というメーカーの1GB の SD カードも60ドルくらいのメール・イン・リベートのおかげで、実質20ドル程でゲットできました。えらい安い買い物でした。

そのからくりについてお店の人に聞いても、「これはプロモーションだから」としか説明してくれません。場合によっては、「目玉商品として安くして、お客を呼び込むため」と説明してくれる店員もいるそうですが、それでも納得できません。だって、これじゃあまりに赤字幅が大きいじゃないですか。倒産した会社の製品を安売りしている訳でもないし。

もう18年も前のことですが、アメリカにいた頃にすでにこうしたメール・イン・リベートのセールが行われていました。メール・イン・リベートでは、お金を払う段階では、リベート額が引かれる前の値段に税金がかかります。とすると、安く売ったにも関わらず政府はたくさん税金が取れる。企業も自分の腹を痛めずにたくさん税金を納めることで政府に媚びを売り、お客を呼び込むこともできる。消費者も、結果的には安く買い物ができる。とまあこんな寸法で、政府が主導しているのかなって思ってました。でもよく考えれば、政府がそこまで特定の企業や業界に有利になるようなことをする訳がありません。何か違う理由があるはずです。

そこでふと思ったのは、こういう「破格の」プロモーションが行われている商品は、テレビやインターネットも含めて、ほとんど宣伝されていないんじゃないかってことです。ちゃんと調べた訳じゃないし、そんな暇もないので断言できませんが、考えてみるとそうなんです。

つまり、大規模な販促キャンペーンを展開して何千万円とお金をかけるよりも、値引きして商品を購入してもらう=安くていいものを販売している企業として知名度を上げる方が、安くつくし確実に売り上げを伸ばす効果が期待できる。そういうことじゃないかなって思うんです。実際、すごいお金をかけてテレビ CM なんか流されているのを見ると、その分安くしてくれればいいのにってよく思いますから、そういう消費者心理をうまく突いたものかも知れません。こういう説明の方が説得力があります。でも、あくまで勝手な想像ですが。

しかしここまで安くなる時があると、まともな値段でなんか買う気がしません。そうすると、今年の扇風機みたいに買い時を逃がしてしまったりして、結局買い控えってことにもなります(うちの場合ですが)。欲の出しすぎでしょうかね。欲しい時が買い時って言いますけど、やっぱりそうなのかなぁ。セールという言葉には気をつけないといけませんね。