95

95年という歳月は、一人の人間が生きてきた時間としてはとてつもなく長いような気がします。特にこの一世紀中には、歴史に刻まれた様々な出来事があり、その激動の中を生き抜いてきたことは、それだけで凄いことだと思います。

2010年4月1日、義理の祖母が亡くなりました。大往生であり、幸いにも自宅で、ずっと介護を続けてきた義理の母と一緒に過ごしていた時に、最後を身内の人に看取られたのでした。なくなった祖母も、介護に明け暮れた家族にも、お疲れ様という言葉が一番のねぎらいになるでしょう。

しかし皮肉な結果でもありました。介護の道に進むことを決心した孫の一人は、朝、わざわざ祖母の顔を見に訪れた後、介護ホームでの入社式に向かいました。これから祖母の介護をもっと手伝えるからと張り切っていた矢先、入社式から戻るとすでに息を引き取っていました。あまりにも残酷で、どこに気持ちを持っていけばいいのか分からないことでしょう。その気持ちに、何もしてやれない周りの家族も、いたたまれない思いでいるはずです。

ぽっかりと空いた心の穴が時間の砂で埋まるまでには、まだしばらくかかりそうです。

合掌。