福知山線脱線事故で在宅起訴された山崎正夫社長が全面的に争う姿勢を示している件についてちょっと思う

今日は七夕。でも1日中雨で、最高気温も15度に達しませんでした。寒い寒い。そしてテレビでは、朝からマイケル・ジャクソンの追悼式をずーっと放送してました。まるで国葬かと思われるほどの規模で、それはそれはすごかったですね。さすがにスーパースターだけのことはあります。会場に入れるチケットは抽選でしたが、無料で配られました。しかし前夜には、そのチケットが1枚15万ドルで Ebay に出品されていたそうです。こんなものまでお金にしてしまう人がいることにも驚きましたが、15万ドルという値段をつけさせるだけの人気を死していまだ維持しているマイケル・ジャクソンの凄さには、もっと吃驚させられました。何もかもが破格でした。

謹んで、ご冥福をお祈りいたします。



閑話休題



福知山線脱線事故。死者107人、負傷者562人を出したこの大惨事。自動列車停止装置 (ATS) を現場に取り付けなかったことは業務上過失致死傷罪に問えるとして、神戸地検が JR 西日本の山崎正夫社長 (ATS 付け替え作業当時の常務取締役鉄道本部長) を在宅起訴したそうですね。

これに対し山崎社長は、「運転士が制限速度をはるかに超えて急カーブに進入するとは思わず、事故を予測できなかった」と延べ、罪を認めず、全面的に争う構えを示しているそうです。



事故は、想定されていないことで起きることの方が多いということを、どうして安全管理責任者は分からないのでしょうか。分かろうとしないのでしょうか。そして、その責任を認めようとしないのでしょうか。



自動車事故は正面衝突や後ろからの追突を想定し、横からぶつけられることを想定していない日本では、車のドアの装甲が極めて軟弱です。一方、北米では、かなり厚い鉄板がドアに入っており、たとえドアが壊れても中の人が助かるようになっています。実際、アメリカで横から突っ込まれた事故に遭った時、この鉄板のおかげで命拾いしました。日本だったら、きっと死んでいたでしょう。

想定外のことが起きたら、責任を取らない。これは安全管理者としては最低です。安全管理者の資格など、まったくありません。単なる自己保身以外の何ものでもありません。そしてそれが、今の日本の企業の姿勢であり、政治家の姿勢でもあります。想定外のことが起きたら、もうお手上げ。自民党古賀誠選挙対策委員長東国原知事に総選挙出馬を要請した時、シナリオどおりにならずに条件をつきつけられたら、返す言葉もなかった。これなんか、その最たるものですよね。(自民党の最高責任者である) 麻生さんは、もう言うまでもないでしょうけど。



いずれにしても、どうして「想定外」のことが起きたら、それに対して責任者が「責任なんてない」と平気で言っちゃうんでしょうか。どうしてそんな人が、偉そうな責任者になんて選ばれるんでしょうか。人間を信用しすぎている、なんてきれいごとでは済まされません。単に認識が甘いだけの話。

欧米では、想定外のことが起きることを前提にして、様々な安全対策が取られているし、それももう何十年も前から当たり前のこととして浸透しています。どうして日本では、今になってもそれが分からないんでしょうか。それは、そういうことを知らないのではなくて、やりたくないからでしょう。余計なお金がかかるし、何かあったら責任を取らされるなんて真っ平ごめんだから、やらないだけ。それが、山崎社長の「常識」であり「正義」の主張なんです。

こんな人たちが運営する JR のために亡くなった方たちや怪我をされた方たちは、いったいどんな気持ちでこの言い訳を聞いているんでしょうか。本当にお気の毒です。どうか神戸地検には頑張ってもらい、この裁判自体も裁判員によって裁いてもらいたいものです。見せしめの意味をこめて、厳しい判決を下すべきではないでしょうか。それで今後、こうした「安全管理の怠慢」による事故が減るのであれば、少しは亡くなられた方たちのためにもなると思います。

そうまでしないと何も変わる見込みのない今の現状を作り出した政治家にも、この裁判はしっかり見てもらいたいものです。今でまだ、人としての心があれば、の話ですが。