カナダで新型インフルエンザ感染者が死亡

日本では、カナダからアメリカ経由で帰国した3人が国内初の感染者として確認されたことが大きく報道されているようですね。確かに感染者が出たということは、甘くみるべきじゃないでしょう。この3人、カナダではトロントのあるオンタリオ州に滞在していたようですね。ちなみにオンタリオ州で確認された感染者数は8日現在 (北米時間です) で61人。バンクーバーのあるブリティッシュ・コロンビア州は60人で、カナダ全体では242人になっています。

また、カナダでは今日、国内の新型インフルエンザ (豚インフルエンザ) 感染者の死亡が初めて確認され、大きく報道されました。ただし、
トップニュースとしてではなく、
です。政治的なニュースの方が大きく取り扱われています。この辺が、日本とはちょっと違う気がします。

亡くなったのはアルバータ州に住む30代の女性で、以前から健康状態が悪かったそうです。死亡したのは4月28日でしたが、この時はインフルエンザが原因とは考えられておらず、後日の検査で感染が判明しました。ただし、新型インフルエンザの感染がどの程度死亡に直結したのかは分かっていません。感染していた人が死亡したという事実は間違いないのですが、死因であるかどうかなど、さらに詳しいことは来週にならないと分からないそうです。また、この方はメキシコに旅行してはいないため、人から人への感染により発症したことは間違いありません。同居している家族も発症していますが、誰が最初に感染したのかも分からないようです。

死者が出たのはさすがに深刻な状況ですが、他の発症者はほぼ全員が軽症で快方に向かっており、ほとんどがメキシコを訪れていた人です。そのため、カナダ国内ではパニックなどはまったく起きていません。今日も街中でマスクをしている人はひとりも見かけませんでした。

カナダでは通常の季節性インフルエンザにより、毎年4000人程度が亡くなっています。日本でも毎年1万人程が命を落としているそうです。これは、ワクチンが存在し、予防接種が奨励されているにも関わらずです。ですから、新型インフルエンザだけを特別視して大騒ぎすることは感心しません。すべてのインフルエンザに対して今までと同様の予防を行うことが大切で、マスクを用意するのもいいですが、まずは手洗いとうがいの励行が先です。

ちなみに、カナダ保健省が示している、新型インフルエンザに感染しないための指針は、こうなっています:

  • Wash your hands often and thoroughly or use hand sanitizer. (こまめに入念に手を洗うか、ハンドサニタイザー (水なしで手を洗える除菌用ジェル) を使う)
  • Cough and sneeze in your arm, not your hand (咳やくしゃみをする際には、手のひらでなく腕で覆うようにする)
  • Keep common surfaces and items clean and disinfected (共用部分の表面や物などを清潔にし消毒しておく)
  • Stay home if you’re sick, unless directed to seek medical care (病状が見られる場合は、診察を受ける時を除いて自宅に留まる)

咳やくしゃみをする時に、ハンカチとかでなく腕で覆うっていうのはちょっと笑えますが、現実に咳やくしゃみが出る時、すぐにハンカチを取り出せるかというと難しいですよね。こっちの人は、ハンカチもティッシュも持ってないことが多いですし。そういう意味で、現実的な状況での対応を促しているのはいいことだと思います。

それから、マスクの使用を推奨する表記がまったくないのも、日本とだいぶ違うところですね。カナダの人がマスクをつけていないのも、ひとつは政府のこういう指針による影響があるからでしょう。それが功を奏しているのか、感染を広げているのかは、なかなか判断が難しいところですが、パニックなどを抑えている効果はあるでしょう。

いずれにしても、カナダもアメリカも、感染者が出た周囲を除いては普段とまったく変わらない生活をしています。日本も、感染者が出たからといって、あまり過剰に反応する必要はないと思います。マスコミは煽りすぎだし、当局は自分達が批判されないようにという消極的な態度が見えるし (診療拒否なんかあったみたいですしね)、政治家も支持率を上げるための言動を取っているように見えます。難しいかも知れませんが、WHO や感染国のサイトなども参考にして、国内だけの報道に踊らされないように努力すべきじゃないかと思いますよ。