1000人に4.3人が自己破産しているカナダ

とりあえず、今日もまずは新型インフルエンザの話題を軽く。

今日もカナダの新型インフルエンザ感染者は、確定者だけで85人に達しました。午前中のニュースでは、ケベック州で2人見つかっただけだったので、これは感染拡大が減速してきたかなと思ったんですが、お昼のニュースでどーっと増えました。州ごとの感染者数の内訳は、こんな感じです。

Alberta -----------15人
British Columbia --22人
Nova Scotia -------31人
New Brunswick -------1人
Ontario -----------14人
Quebec --------------2人
合計 --------------85人 (2009年5月2日現在)


また、アルバータ州では人から豚に感染した豚インフルエンザが発生しましたが、大きな混乱は出ていません。その豚が新たな脅威になることはないってことです。安心してください。

だいたい豚さんは、人からも鳥からもインフルエンザを移される気の毒な動物なんです。悪いのはインフルエンザであって、豚じゃないんですよ。今回はとかく悪者にされてしまってますが、それも可愛そうだなぁ。

それから、アメリカでは生徒7人の感染が確認された学校関係者のうち、約1000人が同様の、しかし軽い症状を訴えていたことが分かったそうで、医者にいったり検疫で調べられずに感染している人がかなり多いだろうということも判明しました。もちろんこれは大変なことなんでしょうけど、ある意味よくも考えられます。

というのも、現在メキシコだけとはいえ、重症者や死亡者の数は確定しています。そして軽症の感染者数が思っていたよりも桁違いに多いということは、致死率が下がるということになるからです。

新型インフルエンザは弱毒性とはいえ、以前世界中で1億人とも言われる死者を出したスペイン風邪弱毒性でしたから、決して侮れません。でも致死率が思っていたよりはるかに低いのなら、パンデミックになったとしても (というか、事実上なっているとは思いますが) パニックを抑えることはできるでしょうからね。あとは途上国への感染を阻止することに力を入れないといけませんけど。

で、バンクーバーは今日もマスクをつけている人はいませんでした (おいおい)。ほんと、誰も気にしてないようにさえ思えます。実際、外を歩いている時、咳をしていたりくしゃみをしていたら全力で逃げようと思ってたんですが、誰もそんな気配はなくて、いつの間にか忘れてしまってました。。。



ということで、今日は新型インフルエンザのことはここまでにして (前置きにしては長すぎですが)、今日はカナダの自己破産についてです。

折からの不況、そしてそこに不動産バブルがはじけたことが重なり (いや、これが不況の原因になったと言えるんでしょうけど)、カナダでは自己破産者が急増しています。2008年7月まで高騰を続けていた不動産を、その高い時期に買った人たちは、当時の収入で25年程度の住宅ローン (=モーゲージ) では払いきれないため、頭金なしの40年ローンなんかを組んで買ったんですよ。不動産価格は永遠に上がると信じて。そして、ご存知の通り、不動産価格は急落の一途をたどり、一気に不況になりました。

40年ローンとか組んだ人の中には、失業したり収入が下がった人もたくさんいます。そして不動産の価値が低くなったことから、銀行はローンに対する担保をその不動産だけでは十分に確保できなくなったため、担保の上乗せとして追加の入金を借り入れ者に要求しました。当然、その人たちは払えるわけがないだけでなく、せっかく買った家を銀行に取られてもまだ借金が残ってしまいました。そして収入もなくなるとなれば、あとは破産するしか手がありません。

人によって多少このシナリオにはフレーバーがあるでしょうが、基本的には、買った家が値下がりし、収入も減り、支払いができなくなって破産というパターンには変わりありません。そして、そんな人たちが急増しているってわけです。これはアメリカでも同じです。

さらに、現在急落を続けている不動産ですが、史上最低の低金利と (バブル時に比べて) お手ごろ価格に見えてきたことに我慢ができなくなった一部の人たちが、また慌てて購入に走っています。この方たち、今後も不動産価格が下がり続け、いずれ上がる金利で毎月の支払い額も高くなるってことを考えてないんでしょうかね。当然、こういう人たちは、次のモーゲージ更新時 (カナダでは、例え40年ローンだとしても、実際には3〜5年程度で、その時点の金利で更新していくことになります) に支払い不能に陥る可能性が高いと考えられています。その場合はやはり自己破産の道しか残っていません。

で、具体的にはどのくらいの人数なのかというと、現時点で1000人に4.3人の割合で自己破産しているんです。この数字はカナダ4大銀行の1つ (というか、カナダには銀行が4つしかないんですけど / 汗) TD Bank が調べた結果です。しかもこの数字は、これから2010年にかけて、1000人に6人という割合まで上がると予測されています。

えーと、1000人に4.3人とか6人とかって大した数字じゃないと思っている方もいるかも知れませんが、これは失業者の数じゃありませんよ。自己破産している人の数です。失業者は、2009年から2010年において、16万人ほどになると試算されています。これも、カナダは日本より人口がずーっと少ない (3000万人台) ということを考えれば、とてつもない数字だって分かってもらえると思います。割合にして8%ほど (分母は3000万人じゃなくて、労働可能な人の人数です) なんですが、2013年までにその失業率も13%に達すると予測されています。

新型インフルエンザ、自動車産業の破綻 (カナダもアメリカのビッグ3で大きな影響を受けてます)、失業、自己破産、そして来年のオリンピックによる経済的負担。。。
バンクーバー、危うし! (東京はオリンピックなんかやっても大丈夫なのかな?)

一時は、世界で一番住みやすい都市にも輝いたバンクーバーなんですが、正直、なんでこんな所にきちゃたんだろうって思うことも、なきにしもあらずですね。 (トホホ)



生きていくってことは本当に大変なわけですが、これも戦後に育って、物の溢れる豊かな時代に甘えてきたことに対する警鐘なのかも知れません。歴史を振り返ってみれば、いい時代もあれば悪い時代もあった訳です。今が悪い時代だと考えれば、この後はいい時代が来るでしょうから、それまで何とか頑張りましょう。

とりあえず、オリンピックが終わるまでは忍ばなくては。