マスクはどうすべきか?

ブリティッシュ・コロンビア州 (BC) では、今日も新たに4人が新型インフルエンザに感染していると判明しました。小学生が1人、ティーンが2人、そして若い成人が1人です。そのうちメキシコで感染したと思われるのは1人だけ。あとの3人は、州内で感染したと考えられています。これで BC での感染者数は15人です。カナダ全体では51人。3桁の大台に乗るのも、恐らく明日か明後日でしょう。

昨日の時点では、BC では11人の感染が判明しており、そのうち感染がメキシコに由来するとみられている人は10人でした。つまり、人から人への感染は1人だけだと考えられていました。それが今日は一気に3人増えて4人になりました。うーむ。



幸いなのは、すべてバンクーバー郊外での発症で、バンクーバー市を中心とする都市部では見つかっていないということです。とはいえ、この調子なら都市部での発生も時間の問題でしょう。一旦都市部で広がると感染者に接触する人が多いため一気に広がるでしょうから、そろそろ覚悟しておかなければ、という感じです。

若い人の方が罹る可能性は高いようですが、これもウイルスの変化によっては今後どうなるか分かりません。まだワクチンがない以上 (WHO は4〜5ヶ月程度という短期間で造れるだろうと表明してますが)、それまでは罹ったら病院か自宅などで隔離され、じっと耐えるしかないんでしょうね。症状がひどければタミフルを服用することになるでしょうが、タミフルに耐性を持ってしまったら対処法がなくなります。乱用は避けたいところです。

実はこのタミフル、カナダでももちろん医師の処方箋が必要なのですが、カナダのある医薬品通信販売会社が、無許可で、処方箋なしでの販売を行っていました。それも、通常1箱60ドル程度のところ、199ドルの値段をつけてました。この会社は鳥インフルエンザの時にも同様の違法行為をしており、当局の調査が入ったところです。今回も告発により販売は中止されましたが、人の弱みに付け込みお金儲けを平気でする人たちがいることには腹が立ちます。



さて、マスクなんですが、こういう状況においてもバンクーバーではマスクをつけている人はいません。先日も書きましたが、理由は、マスクの効果に疑問があること、元々マスクをする習慣がないこと、そして効果的なマスクがなかなか手に入らないことなどが挙げられます。

バンクーバーでも、マスクがまったく手に入らない訳ではありません。ただ、インフルエンザの菌を遮るようなマスクは、ほとんどありません。粉塵などを遮るだけの効果しかないようです。これでは、マスクをしたところで意味がありません。むしろゴミや感染者から飛んだ唾がマスクに張り付き、菌を集めることになりかねません。安い市販のマスクをしているのなら、この危険性の方が高いんじゃないかと思います。

また、新型インフルエンザは空気感染はしないと見られており、咳やクシャミで飛翔した唾に含まれる菌で感染を広げているようです。マスクの効用に専門家から疑問の声が上がっているのは、こうした理由もあるんです。

そして、直接患者に接触すれば、もちろん感染する可能性は飛躍的に高まります。しかし、単に菌が身体の表面についたとしても、すぐに感染するわけではないんです。

感染するためには、菌が口や鼻、目などに入り込む必要があります。手についただけでは、傷がない限りすぐには感染しません。手洗いやうがいによって感染は防げます。ただ、手を口に当てたり、目をこすったりするクセがある場合は要注意です。食事の前には手を洗う。ウェットティッシュなどで手を拭く。こうしたことが一番大事でしょう。外から帰ってきたら、髪の毛や服についたホコリを払うことも大事です。花粉症の人ならよくやっていることだと思いますが、基本的にはそれと同じ対処法でリスクを大幅に減らすことが可能です。

あとは、人ごみを避け、咳やくしゃみをしている人の近くに寄らないこと。とは言っても、仕事で面と向かって話をする必要だってあるでしょうし、買い物や近所の知り合いと会った時にも会話をすることは避けられません。その場合には、日本で売られているような、ウイルスを通さないマスクをすることが効果的でしょうね。相手が「まるで私を感染者扱いしてるようで気分が悪い!」と思われたとしても (こちらでは逆に「こいつ感染者だ!」と思われるのですが)。

結局カナダでは、効果的なマスクが手に入らない (通信販売でも売切れている所があるようです) という事情と、マスクをしているだけで感染者扱いされてしまうために、症状が出た人だけにマスクの着用を勧めているわけです。そうでないと、入手困難なマスクを手に入れようとパニックが起きる可能性さえあります。

ということで、日本のように、すぐにマスクをと呼びかけることがいいのか、カナダのように、感染者だけがすべきだと呼びかけることがいいのかは、お国事情によって一概には言えないようです。でも、感染者が急増しているバンクーバーに住んでいる身としては、正直マスクは欲しいですね。実は日本から少し送ってもらうことになってますし、以前帰国した時に花粉症用のマスクを持ってきているので、当分はそれで対処することにするつもりです。後は、用のないときは外出せず、早く終息してくれることを待つしかないでしょう。  (おーまいがっ)