バンクーバーにおける豚インフルエンザへの反応

急激な感染拡大を受け、WHO のマーガレットちゃん、もとい、マーガレット・チャン事務局長の決断でとうとうフェーズ5に引き上げられた豚インフルエンザですが、BC 州では今日も新たに3人の感染が見つかりました (人の手から手による感染だそうです)。これで、BC 州だけで6人。カナダ全体では合計19人の感染者が見つかったことになります。そう聞くと、カナダは大変なことになっているんじゃないかと思ってませんか? カナダのこと、日本ではどのように報道されているんでしょうか。

実際、現地 (つまりバンクーバー) での人々の反応はどのようなものかというと、
普段とちっとも変わりません (きっぱり!)
日本のようにマスクをしている人はゼロです。今日見た限りでは、一人もいません。もちろん、空港や病院などでは違うかも知れませんが、そのような地元の映像をニュースで見ることもありません。スカイトレインやバスに乗っても、それを気にしている風な感じもなければ、その話題も耳にしません。みんな豚インフルエンザのこと知ってるの? って感じすらします。もちろん、ニュースは (冷静にですが) ずーっと豚インフルエンザのことを報じていますが、パニックを煽るような感じはありません。

んでもって、今日はちょっと用事があって出かけてきたのですが、ラッシュにぶつかってしまったので、スカイトレインもバスの中も結構込んでました。手すりなどに触らない方がいいだろうなと思いつつも、揺れるのでそうもいきません。万一車両事故などでもあれば、つかまっていなかったために怪我をするかも知れず、その方がずっと危険ですからね。

ま、日本に比べると、あまりにのんびりというか、真剣さが足りないようにも思えますが、パニックになる感じがないのはいいことです。人はパニックになると何をするか分かりません。以前水不足になったとき、スーパーで新しく入荷された水のボトルにパニック状態の人々が殺到し、恐怖を感じたことがあります (本当に怖かった)。なので、あまり神経質にならず、冷静に対処できていることはいいことだと思います。

それから、ハンドサニタイザー (水なしで手を洗える除菌用ジェル) が一部で売り切れになっているなんて話も聞いたのですが、今日スーパーに行ったところ、安いものはなくなっていましたが、少し割高の製品はまだまだ沢山残っていました。念のため、1本買っておきましたけど (残ってたので一番安いやつ / 笑)

で、マスクなんですが、日本のようにそこら中でマスクを売っているわけではないので、買いたくてもなかなか買えないという事情もあります。ここカナダ (というか北米) は花粉症のマスクをつけることさえ、かなーり勇気がいる土地です。おまわりさんなんかに職質されちゃうんじゃないか、銀行に行ったらそのまま (手すりに囲まれた) 違う金庫に入れられてしまうんじゃないかというスリルは味わえますが、そこまでして笑いを取りたくはありません。ブログネタにしても、1回限りどころか1行で終わってしまいそうで元が取れません。

もちろん、カナダにも風邪用の普通のマスクならあるんですが、菌の大きさがミクロなものですから、そんなマスクではほとんど効果はないと思われます (漁業用の網でハエを捕まえるようなもの)。カナダ当局側も、安価な手術用のマスク (inexpensive surgical masks ・・・って、手術用マスクって安いんかい!) による効果は実証されていないと述べていますので、まして風邪用のマスクじゃ、それこそ気持ち程度のものかも知れませんね。カナダ公衆衛生局長の David Butler-Jones 博士は、マスクなんてしてもどうかな、なんてテレビで言い切ってますし、もったいないからと長時間マスクをつけたままにしておくと、かえって菌を集めてしまい危険でしょう。日本のすごいマスクみたいに息がしやすいとか、メガネが曇らないとか、声がこもらないなんて、そんなすごいのないですし。

とはいえ、飛翔する唾に含まれている菌は、唾とともにマスクやガーゼで遮られるでしょうから、一定の効果はあるかも知れませんね。これは感染しないように身を守るためというより、感染者が他の人に移さないようにするためのものと言えるでしょう。いずれにしても、ケチケチせずにマスクは使い回しせずに捨てること。菌のついたマスクなので、捨て方にも気をつけることが大事かと思います。 (皆さんちゃんとした捨て方してますか? ゴミ箱をあさる人や動物が感染したら大変ですから、それも考えてくださいよ。)

それにしても、豚インフルエンザはこれからどうなるんでしょうか。最悪のシナリオは、先進国では拡大を押さえ込めたとしても、途上国で一気に拡大し、その過程で菌の毒性が強まり、さらに深刻な状況になってしまうという事態じゃないでしょうか。幸い、まだアジアやアフリカなどには広まってないので、こうした地域への感染拡大を防げるのかどうかにかかってきそうですね。

ところで、日本では「世界的大流行」を意味する pandemic をなぜ、わざわざカタカナで「パンデミック」と表記しているんでしょうか? 世界的大流行で十分だと思うんですけどね。故意に、何かとても大変はことだということを煽っているようにしか思えません。(蒸し返して申し訳ないですが、草なぎ君の時や松本サリン事件の時ように) 騒いでくれれば何でもいいという体質のマスコミは、こんな時でも平気で人々を扇動するのでしょうか。今回の日本での報道の仕方は、、患者が一人も出ていないのに異常です。どうにかならないんでしょうかね。 (ま、大騒ぎが好きな国民性もあるのでしょうけど)