便乗商法もここまでくると。。。

ご存知のとおり、2010年にはバンクーバー冬季オリンピックが開催されます。そして商売をしている人は、これをビジネス・チャンスと思う訳です。

ええ、それはしょうがないことでしょう。ある程度は大目に見ますよ、ある程度はね。でもそれは、商売の内容にもよるでしょう。

例えば非合法ドラッグの販売とか、売春とか、ひったくり&置き引きとか、因縁つけて金を脅し取るとか、そういうのはちょっとどうかと思いますよね。でも、この中の一つが、本気で、しかも「合法的に」商売しようとしてるんですよ。

で、どれだと思います? (シンキング・ターイム!)



チッ、チッ、チッ、チッ、チッ、カーン! 時間です。

答えはですね、な、何と









売春です。   (大きな声で言えない)








バンクーバーの売春婦たちが組織する「BC Coalition of Experiential Communities」という団体が、オリンピック開催期間中の安全な「慰安所」の認可を求めて、カナダ連邦政府に要望書を出しているというんです。

しかし、これで驚いちゃいけません。この団体の代表者であり、working prostitute (現役売春婦) の Susan Davis という人によると、バンクーバー東部地区選出の国会議員 Libby Davies 氏や、Sam Sullivan バンクーバー市長なんかが支持してるそうですよ。

このことは、カナダのあちこちの新聞などで紹介されていますが、一番信頼できるソースは Vancouver Sun という地元大手新聞社の記事ですかね。

→ Vancouver Sun の記事「売春婦団体が五輪期間中の合法慰安所認可を要請

で、この Davis さんによると、同団体は既に市内東部5箇所で、シンクやベンチなどを備えた安全な慰安所を設置する計画を進めているんですが、


連邦政府の支援があるまではオープンしない


と宣言しています。ま、逆に言うと、


連邦政府があたいらを助けてくれないなら、慰安所をオープンせずに危険で非衛生的な「仕事場」を使ってビジネスしちゃうよ、オリンピックのときに


てなことを言っている訳ですね。(この部分は勝手に想像してますが)



彼女らの言い分はこうです。

オリンピックの期間中にバンクーバーを訪れる数万人の男性は、セックスが目的だ。そして、その客を目当てに、世界中からセックス産業で働く人たち (要するに売春婦) も集まってくる。だから、安全で合法的な慰安所が必要だ。


(汗)



えーと、バンクーバーの売春婦というとですね、折りしも現在裁判が大詰めを迎えている Robert William Picton という殺人鬼のことがまず頭をよぎります。この男は、バンクーバー東部で出会った少なくとも27人の女性 (ほとんどが売春婦) を殺害し、自分が経営する養豚場の敷地に死体を埋めて隠していたんです。

警察での証言では、あともう一人殺して50人にしたかったと言っているらしいし、その時期に行方不明になって売春婦が他にも多数いることから、余罪があるのはほぼ間違いないと見られています。

こういう土地柄であっても、ここの売春婦はこの土地でビジネスを合法化してまで営みたいと思っているんですね。これって、どういうことなんでしょうか。何故なんでしょうか?

考えられる理由は、バンクーバーというところが、犯罪ビジネスに対して寛容な面があるからじゃないかと思います。例えば麻薬についても、麻薬取り引き自体は違法なんですが、注射をするための安全な場所は市が提供しています。これは、注射針の使いまわしによってエイズなどの病気が蔓延しないようにという「心遣い」からです。

ホームレスに対しても、仕事を斡旋するというより、とりあえず「新築の豪華マンション」を作ってそこに無料で住んでもらい、ゆっくり仕事を探してもらおうという作戦に出ています。ま、ホームレスというのは犯罪じゃないですが、仕事をしなくても住むところがもらえ、教会にいけば無料で食事をもらえるわけですから、まともに働いてわずかな給料をもらって苦しい生活をするより、がばっと稼げる裏の仕事をする手助けをしているようなもんだと思いますけどね。そうじゃなくても、ちゃんと働く気は起きないと思いますよ。    (「ホームレス 3日やったら やめられない」って言葉聞いたことあるし)

マリファナについても合法化が議論されて久しいです。毎年夏になると、マリファナの合法化を求めて、美術館前の広場でたくさんの怪しい人たちがプカプカ吸ってますし。医療用にはいいとしても、「個人で楽しむため」ってのはやっぱり不味いでしょう。

また、売春の合法化についても、これまでに何度も議論されているんですよ。実際、売春に対しては警察も見てみぬふりをしているところがあり (売春しないと生活できないことを知っているので)、実質上合法化されているに近い状態だと言えます。だから、オリンピックで政府が安全な慰安所を公認しろなんていい出すんでしょうね。



フランスにも政府公認の売春宿がありますが、果たしてこれで問題が解決すると思っているんでしょうか? 確かに今現在はそれしか生きていく術がない人もいると思いますが、そこから抜け出すための手助けをせず、その商売をやりやすくする手助けをしているのは、やっぱり間違っていると思いますけどね。

オリンピックをするために大きな大きな額のお金を使う訳ですよ。でも、オリンピックなんかやらずに、そのお金で貧困層の生活を支えたり、仕事の機会を与えることの方が大事じゃなかったんでしょうか。最近のオリンピックなんて、結局一部の商売人が潤うためにやるようなものでしょう。地元の一般住人としては、はっきり言ってありがたくないですよ。期間中はいろいろ規制されるだろうし、便乗して何でも値段が高くなるだろうし。



果たして、2010年のオリンピックではどんなことが起きるのやら。テロとかも心配ですが、もっともっと人間の尊厳ってものを考えないといけないんじゃないでしょうかね。世界で一番住みやすいと言われているこの街は、本当に住みやすいところなんでしょうか? そして、オリンピックが終わったら、売春婦たちはどうやって生きていくんでしょうか。市長さん、どうするつもりですか? ね、ねってば!