見えないものを見る


昨日に続いてリサ・ランドール博士の話題をちょっと拝借しますが、博士の理論では、同列の宇宙が連続して存在し、同じ空間 (と呼んでいいのかな) を共有しているかも知れないなんてことが説明されてます。

ま、あくまで理論だし、証明できない (だろう) 対象について議論している訳ですが、でも「見えない」ことや「理解できない」ことを「ない」と決め付けてしまうよりはいいのかも知れません。こういう決め付け、実は宇宙論ではよくあるんです。我々の宇宙から観測できないもの (この宇宙が始まる前のことや、宇宙の「外側」など) は、どうやっても分からない訳だから、ないと同じだと言い切ってしまうんですね。まあ、理論を進めるには、ある程度そういう潔さも必要な訳ですが。。。

人間、「目に見えないものは存在しない」と思い込むクセがあります。頭の中で理解していても、実感できないから「ふ〜ん」て程度にしか思わない。ある意味仕方ないことですが、見えないものが実際に見えたとき、意識が変わるかも知れません。

あ、ちょっと大げさな前書きになってますが、あまり過度な期待はしないでください (汗)。

えっと、先日知人の K さんから聞いた話なんですが、K さんのお兄さんがとてつもない機械音痴 (失礼!) なんですよ。で、テレビのリモコンが使えなくなったから何とかしてくれと電話してきたそうです。

K さんは技術的なことにいろいろ興味があって、本当に幅広い知識を持っておられます。で、電話越しにお兄さんに指示を出して試してもらったのですが、どうにもうまくいかない。そこで直接行って確かめることにしたそうです。

そのお兄さんは
これは Made in ●●だからダメなんだ。もう●●製のものは使わん!
と怒り心頭だったようですが、K さんは、そんな簡単に壊れるものじゃないハズと思ったそうです。で、いろいろ試したのですが、お兄さんの言われるとおり、やはり機能してないみたいなんです。

はて、やはり壊れたのかな?

そう思いながらも、K さんはデジタル・カメラを机の上に置きました。怪訝そうな顔をするお兄さんを尻目に、K さんはリモコンの発光部分をデジカメに向けて画面を覗き込みます。すると
ぴかぴか
光って見えるじゃないですか!

リモコンから出ている赤外線は通常、煙とかを通さない限り目には見えません。でも、デジカメを通して見ると光って見えるんですよ。で、光が見えるということは、リモコンは壊れてないということになります。

じゃあ、何が悪かったのか?

実は、あるボタンを強く押しすぎて戻らなくなっていたそうです。そのボタンをひょいと元に戻してやると、元通り使えるようになりました。分かってしまえば、な〜んだというオチでした。

K さんのお兄さんは、リモコンの赤外線が見えなかっただけではなく、視点を変えて見ることができなかったんですね。「Made in ●●」の製品が良くないと思い込みから、盲目的な考えに捕らわれてしまったんです。

物事をよく見なくなってしまったり、見えるはずのものが見えないというのは、実は人間の心理的な部分が一番強く影響してるのかも知れません。

ところでリモコンの赤外線ですが、後で一眼レフ・タイプのデジカメで試したところ、光は見えませんでした。一般的なタイプのデジカメだとちゃんと見えます。

これはあくまで推測なんですが、高級な一眼レフ・タイプのデジカメでは、人間の認識できる範囲の光だけを測光して、人間の目にあわせた露出とかをしているんじゃないでしょうか。つまり、「見えない人間」に合わせて、本来見えているものを敢えて見ないようにしていると。 (頭いいなぁ。気、遣ってくれてるんだなぁ。やっぱり高いだけのことはあるよ。)

これも、見えないところにある「技術」なんでしょうね。普通のデジカメで露出がうまくいかない場合があるのは、こんな「人間には見えないものが見えているという見えない」理由があるからのようです。 (全然違ったりして)

ちなみに比較に使った2つのデジカメ、どちらも同じ日本のメーカー品です。別のメーカーでどうなるかは分かりません。

それにしても、見えないものって奥が深いですね。