英文ニュース記事を読む時のちょっとしたヒント


Google で「ニュース記事の読み方」を検索してみると、約5180件のヒットがあります。これに「英文」を付け足して「英文ニュース記事の読み方」とすると228件になります。この程度なら、どんなもんかなってざっと (検索結果を) 眺めることができます。そして実際に (最初の一部だけですが) 眺めてみると、どれもこれも何か難しそうなものばかりです。はっきり言って読む気が失せるというか、読む前に諦めてしまうというか。。。そういう読み物が悪い訳ではないし、必要なものだとは思いますが、もっと気軽に「ふむふむ」と思えるようなものがないんでしょうかね。ぼーっとネットを眺めていて、「へぇ〜、そうなんだ」って感じで読み飛ばせるような。まあ、そんな訳で、ちょっとそういうものを書いてみようかと思った訳です。

一応ニュース記事なんかも手掛けている翻訳者の端くれなので、ある程度は英文ニュースの読み方ってものを知っている (ような気がする) のですが、誤解というか、知らなければ読み間違うだろうなってことを2、3点だけさらっと書いてみたいと思います。まあ、英語が読めることを前提としたものですが、日本語と英語の違いを頭に入れておくと、イザ読まなければならない時に (きっと、たぶん、いや、願わくば) 役立つと思いますので。

まず、「そんなの知ってらぁ」って感じの常識的なことですが、英文では結論が最初 (の方) に書かれています。ただしニュース「記事」の場合、なるべく最後まで読んでもらえるように、謎解きのような言い方をしている場合も少なくないですね。記者によっては、結論として理解できないようなものもありますし。なので、「必ず結論は最初にある」とは思わない方がいいです。最後まで読んで初めて、「あー、こういうことか」って分かる「結論もどきのなぞかけ」も少なくないですから。

次に、同じ言葉は繰り返さないということです。人の名前や会社名も例外ではありません。とはいえ、this/that/it とか he/she などの (指示や人称) 代名詞を多用するのは好まれません。これは、あまり品のいい文章とは見られないからです。また、同じ言葉を繰り返すのは、「品」どころか「教養」がないと見られます

それではどうやって繰り返しを避けるか? それにはいろいろなテクニック (というほどじゃないですが) を使います。

人名の場合、その人の肩書きを使ったり、例えば「the 26 years old doctor」(26歳の博士) などと「the」を使って表します。ゲームの達人ならば「the gamer」だし、シュワルツェネッガーなら「the terminator」とか「the Cal. governor」などと書く訳です。

企業名の場合は、所在地とか扱っている製品やサービスで書くことが多いですね。例えば Microsoft の場合なら、本社のある Redmond 市を使って「the redmond software maker」とか「the software giant」なんて書きます。新興企業なら「the start-up firm」なんて表現も良く見かけますね。こうした書き方は、知らないと全然違う読み方をしてしまうと思いますので、知っておいた方がいいですよ。

それから、中央政府のことをその国の首都名で表す場合も少なくありません。例えば日本政府を「Tokyo」、米国政府なら「Washington」、カナダ政府なら「Ottawa」となる訳です。これも知らないと、地名を指していると勘違いすることになりますね。まあ、「Ottawa says」なんて書いてあれば読んでいて違和感があるので、なんとなく分かるとは思いますが。

ついでにあともう一つ。ニュースサイトがそのサイトの関連会社について言及する場合、米国では関連会社との関係を明示する必要があるため (公正を期すために連邦法で決まっているらしい)、例えば AOL 傘下の会社のニュースサイトで AOL のことが出てくると、文章中に突然「○○は AOL の子会社です」なんて脈絡もなく出てくることがあります。こういう部分はすっ飛ばして読めばいいだけです。

まあ、こんな簡単なことでも、日本の英語教育では絶対に教えてくれないですよね。やれ文法だ、やれ単語の暗記だとうるさいのに、こうした「コツ」みたいなことを教えてもらった覚えは全然ないですよ。だから日本にいた時には、英語が恐ろしくできなかったんだなぁ (いや、本当はそのせいだけじゃないですけど)。赤点すれすれでしたからね。それが今じゃ、こうして翻訳で飯を食っているなんて、自分でも信じられません。要は、コツですよ。いくら単語を暗記しても、理解力の向上には限度があります

こうしたコツを知らずに勉強した英語の理解は、結局「翻訳ソフト」ができることと大差ないと思います。上に挙げたコツをちゃんと理解して訳してくれるような翻訳ソフトがあると思いますか? 少なくとも、一般の人の手に届くようなレベルのものでは、存在しないでしょう。ま、おかげで翻訳のプロが飯を食える訳ですけどね。だから、これ以上のコツはちょっと書けない訳です。商売道具ですからね、いわゆる「企業秘密」です (← 嘘ですよ、そんな大そうなもんじゃありませんよ)