したたかな妙策か

小沢さん、いきなりの代表辞意表明で世間を驚かせましたね。中でも一番驚いているのは、やはり民主党執行部でしょう。まさか辞任を申し出るとは思わなかったでしょうね。

でも、したたかな小沢さんがプチっと切れて、勢いで辞意を表明したとは思えません。これまで随分我慢を重ねてきた人で、政界の酸いも甘いも知り尽くした政治家です。そこにはしたたかな戦略があるはずです。



小沢さんはバカじゃありません。代表を辞任して民主党を離れることはないと思います。小沢さんに近い民主党議員をごっそり引き連れて与党入りすれば、評判を落とすだけでなく、数ヶ月以内には行われるであろう衆院選で落選する可能性すらあります。また、自民党に返り咲いたところで、決して厚遇されることはないと分かっているはずです。

つまり、自民党に入ることはないでしょう。

新党結成という話も、短絡的な考えです。二大政党制を掲げてきた小沢さんが、その実現を目前にしたところで方針を転換し、自分の思い通りにならないからと新党を旗揚げしたとして、結局無力な小野党に成り下がるだけです。亀井さんや鈴木宗雄さんの二の舞になるだろうということも、小沢さんは理解できるでしょう。やはりそんなバカな真似はしないと思いますね。

ということで、新党結成もあまり現実味がないでしょう。



与党入りとか新党結成とか、誰が言っているんでしょうか。小沢さんが会見で述べたように、マスコミが勝手に煽っているようにしか思えません。日本国内にいて、日本のマスコミの情報しか耳に入らず、雰囲気にも飲まれてしまうような環境では、マスコミの報道したことを鵜呑みにしてしまうでしょうね。少し離れて、起こった事象だけを冷静に見れば、日本のマスコミの報道が信用できない内容を多く含んでいることに気がつくはずです。



では、小沢さんの真意はなんでしょうか? 記者会見で述べたことは嘘じゃないと思いますが、本音は全部出してないと思います。キーワードは、小沢さんが「民主党代表として選任した役員から不信任を受けたに等しい」と述べた部分にあるんじゃないでしょうか?

参院選で大勝し、自民党に対する強気の姿勢を崩さない民主党は、少しおごりが出てきている感じもあります。小沢さんが福田さんから持ちかけられた連立の話を持ち帰り執行部で協議しようとしたことについて、中身も確認せずに「その場で断るべきだった」と批判する人が少なくないと聞きました。つまり、自民党のすることにはすべてケチをつけろという態度です。

小沢さんだって、もちろんその場で断ることはできたし、それも考えたでしょう。でも敢えて持ち帰ったのは、密室での協議を透明化させたかったからだと思います。当然、民主党執行部が拒否することも十分承知していたはずです。

でも、持ち帰ったこと自体を批判するような人間が民主党内に多くいるということは、おごりが出てきただけでなく、挙党体制への不安要素にもなります。批判癖がついた民主党は、身内に対しても同じ事をしてしまい、初心を忘れてしまっていると小沢さんは判断したんでしょう。

そこで、党内の引き締めを図るために辞意を表明したのではないでしょうか? もちろんそれだけじゃないとは思いますが、これによってどれだけ民主党や国民が自分を必要としているかを確かめることができるし、うまくすれば求心力をさらに高めることもできる。

最終的に代表を辞任することになったとしても、民主党内に止まる限りは小沢さんへの風当たりは弱まり、次のチャンスを狙うことができる。ある意味、自民党の麻生さんと同じ方法です。「君子危うきに近寄らず」で、ごたごたしているような状況なら他の人 (自民なら福田さん、民主なら次の代表) にタスキを渡しておいて、頃合いを見て打って出るという寸法です。

したたかな小沢さんなら、このくらいのことは考えるでしょう。いや、恐らくはもっと凄いことを目論んでいるかも知れません。



日本のマスコミの報道を見る限り、誰かが言ったことを膨らませて記事を書いているだけのような気がします。松本サリン事件のことで反省したはずのこの業界は、人の噂を事実として、競って報道する体制に戻ってしまったようですね。

こうしたマスコミの煽りに踊らされないように、政治家のたくらみに騙されないように、慎重に物事を観察しないといけません。小沢さんをはじめ、政治家の言動には、必ずその裏があることを忘れないようにしましょう。



(ああ、また長くなってしまった。し、仕事がぁ。。。)