長勢法務大臣が東京高裁決定に苦言を呈したことにちょっと思う

向井亜紀さんが、代理出産で生まれた双子を自分の子供として出生届けを出し、それを東京都品川区が受理を拒否した問題で、品川区に対して親子関係を認めて出生届を受理するよう命じた東京高裁決定に、長勢法務大臣苦言を呈したようですね。

これって、三権分立を思いっきり無視した発言じゃないでしょうか? 品川区が判決を不服とするのは法律上まだいいとして、司法権を持つ裁判所の判断に政府、それも法務大臣が口を挟むというのはどうでしょうか? 日本の憲法や法律は、法務大臣ならどうにでもできるとこの人は考えているんでしょうか? だって、法務省や政府が被告な訳じゃないんだから、介入すること自体おかしいですよね?

朝日新聞のオンライン版によると、長勢法務大臣は「我が国では親子関係は分娩の事実によって発生するものということでやってきているので、なお問題が残っているのかな、という気がしている」と発言したそうです。でも、そういう決まりごとは誰が決めたことで、どうしてそうでなければならないのか、今もそうあるべき理由は何かって事を、大臣は何も言ってないですよね。昔決めたことが現在では合理的でなくなっているのなら、法律に合わせるのではなくて、法律の問題点を検討する必要があるんじゃないでしょうか? それとも、面倒だから余計な仕事を作るなという意味なんでしょうか?

日本の法務大臣って、昔からそういう感じがありますね。いや、法務省もです。正確には、お役所はみんなそうですけどね。「まず人ありき」ではなく、「まず法律ありき」がお役所や政府・政治家の考え方。どこの国でも、役人は血の通っていないサービスしかできないみたいですね。